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海洋資源の有効活用を目指すWASEABIプロジェクト

27.11.2019

ロイヤルグリーンランドは今後4年間に亘り、13のパートナーで構成される共同研究チームの一員となります。同チームは、水産品の副産物、端材から栄養成分を抽出する新たな手法の開発によって、副産物、端材を最大限活用することを目指しています。

2019年5月に発足したWASEABIリサーチプロジェクトは、デンマーク工科大学の国立食品研究所が主導し、13のコンソーシアムパートナーと共同で行っているものです。水産副産物、端材から栄養成分を抽出する新しい手法を開発することによって、養殖や漁業、水産業などから生まれる副産物、端材を食品産業のために有効活用することを目指しています。

水産副産物、端材活用の大きな可能性

欧州の水産品加工業界は巨大な業界で、年間売上約280億ユーロ、12万2000人を超える雇用を誇ります。この業界は近年、副産物、端材の有効活用に注目しています。5.1トンの漁獲によって生じる副産物、端材の量は、1.5トンと推計されています。海洋資源の実に70%が副産物、端材で、それらは動物の飼料にするなどあまり価値のない使われ方をするか、あるいは単にゴミとして廃棄されます。(WASEABIプロジェクトのホームページより。

WASEABIという名称は「Waste(ゴミ)」「Seafood side-streams(水産副産物、端材)」「Bio economy(バイオ産業)を掛け合わせた造語です。

WASEABIリサーチプロジェクトが取り組んでいる活動の一例が、グリーンランド、マニーツォクのロイヤルグリーンランドによるNutaaq生産で、そこでは大西洋の良質なタラが、海上に引き上げられてから2時間以内に加工、冷凍されます。この迅速な作業によって、加工後もなお、副産物、端材が新鮮に保たれます。頭部や骨、切れ端やはらわたなどがWASEABIプロジェクトのために収集され、これら製品の商業利用の可能性を研究しています。

デンマーク工科大学国立食品研究所の生物活性の分析・応用研究グループ責任者であり、WASEABIプロジェクトのコーディネーターを務めるCharlotte Jacobsenは次のように述べています。「WASEABIプロジェクトが発足してとてもワクワクしていますし、私たちが生み出す成果に大いに期待しています。このプロジェクトを通じて、水産業界がより効果的に、またより持続的な形で原料を有効活用できるようにしたいと思っています。私たちは利用可能な資源を最大限に活用できる方法を見つけ、人口が増加している世界の人々にさらなる食料を供給できるようにしなければなりません」。

このリサーチプログラムの他にも、ロイヤルグリーンランドはNutaaqタラに関する新しい取り組みを始めています。昨年よりマニーツォクでタラの肝油製造を始めました。この油は、人間の食用としても動物の飼料用としても使用が認められています。また、ロイヤルグリーンランドの新しい漁船「m/Trシシミウト」も、副産物、端材の扱いを劇的に改善します。タラやその他の白身魚を加工して魚粉や魚油を精製する設備を船上に備えており、魚を100%活用することができるのです。

障壁を明らかにし、価値のあるソリューションを

WASEABIプロジェクトは、新たな貯蔵方法や選別技術、意思決定ツールの開発を通じて、混獲や副産物、端材の有効かつ持続性の高い供給システムを確立し、バイオマス(生物資源)の価値ある活用の実現を目指しています。欧州の一般的な養殖、漁業、水産加工業で見られる6つの異なる原料から生じる副産物、端材に取り組み、WASEABIは包括的なバリューチェーンの観点から、タンパク質を豊富に含む食品用素材、香料、食用または飼料用ミネラルサプリメントなどの高品質な生産を目指しています。また、これらを市場性のある製品にするため、副産物、端材から生産した成分の商業的な可能性や、環境や経済、社会に与える影響についても評価します。

WASEABIプロジェクトは4年間で、主に以下のような有意義な成果を生み出すことを目指しています。

  • 各副産物、端材のボトルネック(障壁)を種類別に少なくとも2点ずつ特定する
  • ニシンの三枚おろしの最適な手法と、3種類以上の新しい副産物、端材の貯蔵方法を開発する
  • プロジェクトに参画している企業2社以上によって試行された意思決定ツールを開発する
  • プロジェクトに参画している企業2社以上によって試行されたガイドラインを作成する
  • バイオ産業に応用できる良質な副産物、端材を3種類特定する
  • 6種類以上の販売可能な食品素材を副産物、端材から生産する
  • 副産物、端材の加工コンセプトを4種類以上開発する

20235月 プロジェクト終了

今年5月にコペンハーゲンで行われたミーティングで幕を開けたWASEABIプロジェクトは、2023年5月に終了する見通しです。プロジェクトの予算総額は400万ユーロ強、うち310万ユーロは、EUの研究開発プログラム「ホライズン2020」バイオ産業共同事業からの出資です。

WASEABIコンソーシアムは、欧州5カ国計13者のパートナーで構成される共同研究チームです。パートナーの内訳は、研究機関・大学が3、産業クラスターが1、そしてデンマーク、スウェーデン、ベルギー、フランス、スペインの計9企業となっています。

WASEABIプロジェクトについてもっと知りたい方はこちらへ(リンク)

出典:

https://www.waseabi.eu/news-events/news/4-million-eu-project-aims-to-ensure-better-utilization-of-the-aquatic-resources/

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